ゆらぎゆめ。

オリジナル

同人誌 / 全年齢 / 2016年01月31日発行 / サイズ区分:S

880円(税抜:800円)

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Sold Out

詳細情報

「深淵を覗き込む時、その深淵もこちらを見つめているのである。」(ニーチェ)

不安定な自分を、不安定なままにリボンで飾り付け、他者に身をさらす。本当は彼女はリボンを身に付けたくもなければ、他人に身を売る事もしたくないかもしれないのに。
彼女は、強い人にも見える。でも、本当は人一倍緊張している。だからこそ、彼女は他者の眼差しに敏感だ。作中のキャラクター、ゴキブリ男爵にしか気を許すことができなくなるほど。

この物語の主人公のゆらぎちゃん、という女の子は世界に一人しか存在しない。けれど、心療内科に通う彼女と風俗の仕事をする彼女はまるで分裂しているかのよう。まるで別人。
では、心療内科の先生は?彼も表向きの顔と、そしてまた別の顔を持っている。心の闇を覗き込む彼自身が、闇に飲み込まれようとしている。
揺るがない自分。確固たる自分。そんなものはこの世に存在しないのかもしれない。自分も、他の人だって曖昧な世界で、曖昧に生きているのだから。

心療内科医と風俗を生業にする女の子のちょっぴり不思議な人間関係図。可愛らしくも、恐ろしい。おどろおどろしくも、華やかな色使い。
揺らぎ続けている自分自身の姿こそ、本当の自分なのかもしれない。安定した人生や幸せな気分に包まれた自分なんて、本当の自分ではないかもしれない。
でも、揺らぐ自分が本当の自分なら、どうだろう。人生とは、不安に満ち満ちたものに思えるのではないか。

もしこの文章を読んでいる貴方が今、心の奥底に潜む不安や漠然とした恐怖に怯えているとしたら。貴方は、作中のゴキブリ男爵に次ぐ、ゆらぎちゃんの友人になることができるかもしれない。

ーーー九十現音 (純文学同人一角/カルチャー誌「アヴァンギャルドでいこう」編集人/文芸誌「らくせん2」参加)


【仕様】フルカラー/ B5サイズ/ 20ページ

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